Aliceはポーンで、女王のマスを目指す。けれど記号は意味を持たない。鏡は左右を、扉は前後を入れ替え、お茶は次の意図を一口で消す。「前へ」と打っても、盤はそれを斜めに曲げる。
Aliceが昇格に近づくほど、解釈の規則は増えていく。どの行にいるかによって、世界は別の「章」にページをめくり、同じ命令を違う意味で読み始める。
aは西ではなく東を指すようになる。bind x w。ただし章が変わると、本はその約束を忘れてしまう。チェスの合法手ではなく、盤が実際に返す状態遷移を幅優先でたどる。だから見つかるのは「正しいチェス」ではなく、本当に最短の命令列だ。ソルバーは規則を再実装しない。候補手はその都度、本物のエンジンの複製上で試され、その結果だけが次の探索先になる。
探索の語彙は w a s d 🪞 だけ。矢印キーや♙は w/a/s/d に潰れ、bind はすでに出せる命令を改名するだけ。だから探索空間は有限なまま、最適性を失わない。
位置・ランク・鏡・扉の回転・お茶の借金・扉タイルの現在地 — 未来の命令の解釈を変えるものだけを鍵にする。ハンプティの束縛は追跡しないものとして扱い、状態から除外している。
BFSは手数の浅い順に展開する。だから最初にポップされた勝ち状態が、証明つきの最短命令列になる。
同じ盤を、三つの違う窓から。実際に対局し、トレースを覗き、雰囲気を眺める。