OBSERVATION RECORD / M1 – M15A + C2 EXTENSION

Quantum Work Network — 有限条件での数値観察記録

このページは、特定の物理モデル、初期条件、有限時間、有限サイズ、Rust実装のもとで得られた数値観察を整理した記録です。一般法則、物理機構、量子的優位性を証明するものではありません。

1. 要約

何を調べたか

小さな量子ネットワークにパルスでエネルギーを流し込んだとき、受け手(load、負荷)にどれだけ「取り出せる仕事」が届くか、そしてそれが位相ノイズ(dephasing)によってどう変わるかを、数値的に計算しました。実装はRustで、Milestone 1からMilestone 15Aまで、前の段階のコード・CSV・レポートを書き換えずに積み上げる形で進めています。

どの範囲まで調べたか

何が観察されたか

何はまだ分からないか

2. モデルと測定量

設定はMilestone 1で凍結され、以降維持されています(hbar=1)。

系の構成

2準位のサイト(qubit|0>=空、|1>=励起の2状態を持つ最小単位)を N 個つなげた鎖と、その一方の端に付けた1個の3準位 load(負荷。エネルギーの受け手)からできています。既定値は、サイト間結合 J=1、サイト-load結合 g=0.25、角振動数はすべて 1。鎖のオンサイトハミルトニアンは omega * sum_i |1><1|_i。駆動するのはサイト0(一方の端)で、loadが付くのはサイト N-1(反対の端)です。

drive(駆動)

driveは、外部から当てるパルスのことです。エネルギーを鎖に注入する入口の役割をします。

H_drive(t) = Omega f(t){ exp(-i omega t) sigma_1^+ + exp(+i omega t) sigma_1^- }

包絡線は f(t)=sin^2(pi t / tau)0<=t<=tau、それ以外は0)、既定値 tau=3.2Omega=0.2 です。t > tau = 3.2 ではdriveは厳密に0になります。

dephasing(位相ノイズ)

dephasingは、量子的な位相の関係(コヒーレンス)を壊す種類のノイズです。各鎖サイトに L_phi,j = sqrt(gamma_phi/2) sigma_z,j として与えます。loadには直接のノイズを入れていません。時間発展はLindblad型のマスター方程式です。

d rho/dt = -i[H(t), rho] + sum_k D[L_k] rho

local ergotropy(取り出せる仕事)

ergotropy(エルゴトロピー)は、ある量子状態からユニタリ操作だけで取り出せる仕事の最大値です。ここではloadの縮約状態から計算します。

W(rho_L) = Tr(rho_L H_L) - min_U Tr(U rho_L U^dagger H_L)
基底・ベクトル化・Liouvillianの規約

テンソル順は |q1, q2, ..., qN, load>(一番右のload添字が最も速く変化。N=3なら |q1, q2, q3, load>)。列優先のベクトル化 vec(rho) = [rho(0,0), rho(1,0), ..., rho(0,1), ...]^T を使い、vec(A rho B) = (B^T kron A) vec(rho) となります。N=3では 24 x 24 の密度行列が長さ576のベクトルと 576 x 576 のLiouvillianに対応します。

L = -i (I kron H - H^T kron I)
    + sum_k [ L_k* kron L_k
            - 1/2 I kron (L_k^dagger L_k)
            - 1/2 (L_k^dagger L_k)^T kron I ]

collapse演算子は係数込みで渡します(例:sqrt(gamma_phi/2) sigma_z)。

量の読み方(重要)

3. Milestoneの流れ

各段階の数値の詳細は個別の MILESTONE_*.md レポートとCSVにあります。ここでは進行の流れと代表的な結果だけを並べます。

M1 – M3.1

基礎の構築

まず静的モジュール(演算子、部分トレース、ergotropy)を作り規約を凍結(M1)、次にLiouvillianと精度優先の密行列指数プロパゲータ(M2、通常テスト26件)、576 x 576 の24次元モデルが組み上がることを確認するオプトインのsmokeテスト(M2.1)、状態診断と符号付きパワーの会計(M3)、符号反転区間を線形補間したゼロ交差で分割する修正(M3.1、例:[(0,1),(1,-1)] -> energy_net=0, energy_in=0.25, energy_out=0.25)。DenseExponentialPropagator は正しさの基準線であり、効率は後回しです。

M4 – M6a

比較と抽出

M4では、コヒーレント初期状態からの単発輸送について、同じ時刻・同じloadエネルギーに合わせた16条件すべてで、ノイズなしAがノイズありBを ergotropy で上回りました(一致比 1.22949.318)。M5aは時間依存RK4プロパゲータの検証(刻み半分化の収束 7.80e-7 -> 4.99e-8 -> 3.19e-9、比およそ15.6、47 passed / 0 failed / 1 ignored)。M5bは真空からの有限パルスが非ゼロの load ergotropy を生むことの確認(A 5.5424e-2、B 3.0302e-3)。

M5c(中心的な比較)では、A/Bのt=10でのloadエネルギーを相対差 4.001e-5 にそろえ(Omega_B=0.431953125)、ergotropy は A 5.2798e-2 / B 8.2846e-3A/B = 6.373。10個の成功条件すべてPASS。ただし一致させたのは最終loadエネルギーだけで、Omega と総投入エネルギーは一致していません。したがって投入コスト対等の比較でも、ノイズだけを変えた因果比較でもありません。M6aは実装のクロスチェックで、理想的な局所ユニタリによりgross extracted work = load ergotropy を回収(18/18チェック通過、抽出後ergotropyはゼロ、gross-workのA-B比 6.373)。

M7a – M7d

ノイズの位置と保護(N=3固定)

M7aは1サイトだけにノイズを置きます。t=10で W が最小になるのは入口(site1)、usable fraction が最小になるのは出口(site3)で、中央のノイズはどちらの端よりコストが小さいという結果でした。M7bは新たな時間発展なしで、ノイズあり/なしの差が持続的に現れる時刻を記述します(EとWは診断レベルで t=2.25 から、usable fraction は閾値依存)。M7cは選んだサイトのノイズを理想的に取り除きます。両端保護(中央のノイズだけ残す)が W、usable fraction、E の回復幅が最大で、保護の非加法性は positive_nonadditivity と分類されました。M7dは端サイトの gamma を 0.5->0 に掃引(中央は固定)し、回復は離散的に単調非減少、感度最大の区間は 0.05->0.00。7c/7dは理想的なノイズ除去であり、実デバイス、コスト、不完全な保護ではありません。曲率を臨界指数や相転移とは呼びません。

M8a – M9c

鎖長の拡張と検証

M8aは鎖長だけを N=3 -> N=5 に変更(回帰は 2e-9 以内)。W_max 比 N5/N3 はノイズなし 0.3965、ノイズあり 0.3620。M8bは N=7 の密行列での実行可能性を調べ、現行の密行列法では t=10 まで約23.7時間かかり非現実的と判断。M8cは sigma_z の dephasing 項だけを厳密な成分ごとの DiagonalDephasingKernel に置き換え(近似ではありません。140 PASS / 0 FAIL)、約29.96倍の高速化を得て N=7 の t=10 到達を feasible_candidate に更新しました。

M9aは N=7 のノイズなし実行(W_max 2.2436e-2、t=7.71、peak_resolved)。M9bは N=7 の全サイトノイズあり(gamma=0.5、fixed-per-site なので合計ノイズはNとともに増える:N3=1.5、N5=2.5、N7=3.5)で、ノイズなしで見えた「N7 W_max > N5 W_max」はここでは残りませんでした(N7/N5=0.369)。

M9c(fixed-total)の経緯と、正本がどれか

M9cはサイトごとのgammaの合計を TOTAL_GAMMA=1.5 に固定し、「Nが増えること」と「合計ノイズが増えること」を部分的に切り分けます。経緯は順に:

  1. 最初の診断で固有値ソルバの失敗が見つかった。t=0.02 の最小固有値が NaN になり positivityfinite_values が不合格。MILESTONE_9C_REPORT.mdnumerical_issue_stop暫定の状態として記録した。
  2. 厳密な診断(MILESTONE_9C_DIAGNOSTIC.md)で、t=0.02 の rho 自体は有限(トレースおよそ1、エルミート性誤差0、再現性あり)と判明。NaN は非有限なソルバ出力をCSVフォーマッタが一律に記録したことに由来。独立のComplex Schurではすべて有限の固有値が得られた。
  3. 頑健な再検証(MILESTONE_9C_VALIDATION.md)は、エルミート化したSymmetricEigenを主として使い、失敗する2時刻(t=0.01t=0.02)でのみエルミート化Complex Schurにフォールバック。フォールバックは診断層のみで、時間発展は変えない。
  4. positivity は 1001/1001 時刻すべてで判定(主999成功/2失敗、フォールバック2/2、solver_failure 0、選択された最小固有値の最悪値 -5.278e-18)。
  5. 既存の9c軌道との比較は最大差0(1001時刻、許容差 1e-12)。
  6. 最終状態 completed_comparison_with_fallback_diagnostic
  7. 固定合計位相ノイズ下での N=3, N=5, N=7 の比較は、正式な結果として採用してよい。

9cの最終的な正本は MILESTONE_9C_VALIDATION.md です。MILESTONE_9C_REPORT.mdnumerical_issue_stop は暫定、MILESTONE_9C_DIAGNOSTIC.md は暫定の診断記録です。

M10

fixed-total比較とXGamma

M10は2つのノイズ規約を区別します。fixed-per-site(サイトあたりのレートが一定で、合計はNとともに増える)と fixed-total(合計を TOTAL_GAMMA に保ち、サイトあたりは TOTAL_GAMMA/N)。N=5, 7 ではこの2つは同じ合計ノイズ条件ではありません。

M10aは既存結果の整理(新しい時間発展なし)で、欠けている fixed-total の N=3/N=5 は推測せず not_available のまま残しました(completed_with_explicit_missing_values)。M10bは TOTAL_GAMMA=3.0 を N=3, 5, 7 について新規計算し XGamma を導入。M10cは同じXGamma診断のもとで TOTAL_GAMMA=1.5 を再計算し、その N=7 軌道は9cの正本と7量×1001時刻で最大差0で一致。この10cのN=3系列が、Milestone 11の比較でN=3側として再利用される基準です。

M10 Finalは10a/10b/10cの成果物だけを読み、TOTAL_GAMMA = 1.53.0両方で同じ有限条件の順位が成り立ちました。

指標順位(TOTAL_GAMMA = 1.5 と 3.0 の両方)
W_maxN=7 > N=5 > N=3
W(t=10)N=7 > N=5 > N=3
usable_fractionN=7 > N=5 > N=3
W_time_areaN=3 > N=5 > N=7
ergotropy arrivalN=3が最速、N=5が中間、N=7が最遅
XGammaN=7 > N=5 > N=3

この読み方は意図的に「鎖が長いほど良い」ではありません。固定合計dephasingのもとで指標の順位は向きが異なります(長い鎖はピーク/最終のergotropyとusable fractionが高く、短い鎖は W の時間面積が大きく到達が早い)。これは有限条件での記述的な結果であり、一般法則ではありません。2つの TOTAL_GAMMA の点から関数形を推定することもしていません。

なぜM11へ進んだか:M10では合計dephasingは一致させましたが、N=3とN=7の積分driveの投入エネルギーは一致していません。そのため順位の違いだけでは鎖長の効果を切り出せません。M11がそこを直します。なお、M11のmatched N=7軌道(Omega ~ 0.18748)は M10c の N=7 実行(Omega = 0.2)とは別の軌道です。混同してはいけません。

M11

equal-input(投入エネルギーをそろえた)N=3 vs N=7

N=7のdrive強度 Omega を、積分drive投入エネルギーがN=3の基準(target_E_drive_in = 5.9618618770136536e-2)と等しくなるように選びます。手順は監査可能で、1軌道ずつ進めます:弱drive近似の初期推定(11c、新しい時間発展なし)、上側プローブ(11d、lower_probe_required)、下側プローブによる区間確定 [0.18700000, 0.18770762191709489](11e、local_input_bracket_confirmed)、内挿点の評価(11f)。Omega = 0.18748395731510084 で測定された投入は目標に相対ずれ 2.8157011099880636e-6 で一致しました(matched_input_found_with_fallback_diagnostic)。一致させたのはdrive投入エネルギーだけで、鎖長・次元・ボンド数・幾何は依然として異なります。根の一意性、大域的一意性、単調性、dt収束は主張していません。

equal-inputでの形(11g):N=3 は W_max = 3.0302e-3(t=5.63)、N=7 は W_max = 3.3853e-3(t=7.70)で比はおよそ 1.11717。N=7はより高く、より遅く、より細いピークを持つ一方、0→10 の W 時間面積は小さくなります(W 曲線は2回交差)。

M11 の詳細(記述的な形のフィット、設計監査、dt半分化、サイト分解診断)

記述的な形のフィット(11h, 11j, 11k)

これらは、N=3の曲線を変換することでN=7の曲線をどれだけ記述できるかを示すものであり、機構の証明ではありません。AIC-like/BIC-like は記述的な複雑さの比較にすぎません。

  • 11h 単一の振幅/シフト/スケール変換:正規化RMSE およそ 0.05485A=1.02343645, delta=2.49, s=0.91)。構造の残る残差が残ります。
  • 11j 立ち上がり/立ち下がりを別にする非対称変換:正規化RMSE およそ 0.03899A=1.05674517, delta=2.32, s_rise=0.965, s_fall=0.515)、asymmetric_time_scaling_partially_supported
  • 11k ピーク後の減衰:低パラメータで最良は2段階指数、正規化RMSE およそ 0.00810switch=8.50, lambda_1=0.15, lambda_2=0.20)。11jの残差は後半に集中(絶対面積の約59.6%が t=9→10)。最終判定 late_tail_structure_remains、補助判定(減衰フィット内部)two_stage_tail_decay_supported

設計と監査(11i)

11iは設計と監査であり測定ではありません。その時点までは集約されたload量しか保存されていないこと(サイト分解の占有数/電流、完全な密度行列、相互情報量、negativity、モード占有はなし)を確認し、最小限の追試を指定しました:matched N=7軌道を1回だけ再実行してサイト分解診断を保存する(completed_design_with_targeted_recomputation_required)。11i自体は新しい時間発展を行っていません。指定された診断はのちにM11Mで実行されました。11iが設計、11Mがその1軌道の実行です。候補となる機構(群速度、境界反射、モードのうなり、entanglement/相関のフロント)は未決定のままです。

dt半分化の収束(11L)

equal-input matched N=7条件(Omega = 0.18748395731510084 は固定、再マッチングなし)で、内部時間刻みを dt=0.0025 から dt=0.00125 へ半分にしました(RK4 8000ステップ、t=0..10、1001保存点、新しい完全軌道1本)。11fの正式な粗条件は再計算せず、そのSHA-256は前後で一致。2つの判定を分けて報告します。

  • マッチングの保存:PASS。Omega を固定したまま、細かい格子で E_drive_in = 5.9618450901723317e-2、相対ずれ 2.8157045010698592e-6、細vs粗の投入変化 -2.0217e-13(相対 3.3911e-12)。再マッチングは行っておらず、新しいマッチング根は主張しません
  • 物理量の収束:PASS。スカラー指標 23/23 PASS(例:W_max 粗/細 3.3852501213e-3/3.3852501213e-3、W(t=10) はどちらも 2.3264679067e-3、XGamma 5.3283047839e-2 vs 5.3283047838e-2)。同時刻の軌道量 10/10 PASS、Wピーク形状 PASS(ピーク時刻7.70、半値幅3.85、両格子)。数値品質:有限性PASS、最大トレース誤差 3.775e-15、エルミート性誤差0、solver_failure = 0、頑健positivityのフォールバック点が1つ。

最終判定 matched_condition_dt_halving_passed_with_fallback_diagnostic。これはこの1本のmatched N=7軌道について、1回のdt半分化での収束であり、任意のdt、他のmatched条件、細dt固有のマッチング根、他のN/Omega/ノイズについての収束は主張しません。

サイト分解された輸送とload局所の変化(11M)

11iの設計を1本の新しい軌道(N=7、TOTAL_GAMMA=1.5Omega = 0.18748395731510084dt=0.0025、t=0..10。11Lですでにdt収束を確認済みのため細dtの再実行なし)で実行し、サイトごとの占有 n_j、最近接ボンド電流(I_{j->j+1} = -2 J Im(z_j)、正がdrive→load向き)、site7→load のエネルギー電流 I_7_to_load、loadの E / W / passive エネルギーを同じ1001時刻で保存しました。連続性と単位のチェックはPASS(最大連続性残差 1.373e-5)、11fの集約8量は再現(8/8 PASS、最大絶対差0)、正式入力のSHA-256は前後一致。Wピーク周辺で観察された時間構造:

EventTime
W peakt = 7.70(W_peak 3.3852501213e-3
site7→load電流、減少の開始t = 7.5
site7→load電流、ピーク後のゼロ交差t ~ 8.15
site7→load電流、持続的な負の開始t = 8.16
load passiveエネルギー増加の開始t = 7.70

Wピークから t=10 まで:load Delta E = -1.86345075e-4Delta W = -1.05878221e-3Delta passive = +8.72437140e-4。最終分類 mixed_transport_and_load_local_change_with_fallback_diagnostic。輸送側の特徴(電流の減少・ゼロ交差・持続的な負の向き)とload局所の特徴(Wの減少と同時のpassive増加)は、いずれも status = observed としてのみ記録されています。因果の主張はありません:電流のゼロ交差を境界反射の証拠とは呼ばず、電流の変化がWの減少を引き起こしたとも言わず、passiveエネルギーの増加を熱化やデコヒーレンスとも呼びません。調べていないこと:因果性、境界反射、群速度、モード、相互情報量、negativity、entanglement、t>10、N>7、他のOmega。

N=3..7 diagnostics

有限鎖(N=3..7)のイベント構造診断

保存済み、あるいは正式採用済みの軌道だけを読む2つの追跡解析で、新しい機構の主張は加えていません。

N=3 のWピーク分岐チェック / equal-input N=3..7 イベント比較

N=3 Wピーク分岐チェック。N=7で見えたノイズ依存のWピーク候補がN=3にも一般化するかを調べるため、保存済みのN=3、Omega=0.2 の3本の軌道(eta = 0, 1.5, 3.0)だけを読みました(新しい時間発展、平滑化、フィットなし)。固定の抽出ルールのもとで、解像されたピークは分岐ごとに異なる時間窓に位置します:eta=0 は t=9.48(遅い窓)、eta=1.5 は t=5.63、eta=3.0 は t=5.39(早い窓)。単一の時間窓の分岐としてそろえることはできません。判定 peak_branch_correspondence_incomplete(副次 none)。早い窓・遅い窓のどちらの対応も保存格子上では支持されず、この不完全さは格子解像度ではなく、あらかじめ定めた窓の中に局所ピークが無いことに由来します。以前のN=7の事前登録Wピーク予測(post-11k実験3)はそのまま保持され、N共通の法則には一般化しません。固有モード、相転移、指数則の妥当性、因果的なノイズ選択についての主張もありません。

equal-input N=3..7 イベント比較。N=3, 4, 5, 6, 7 をdrive投入エネルギーをそろえて比較します(各Nは自分のmatched Omega を使用。N=7は11M軌道を再利用。N=8は含めません)。

Nparityt_W_peak_end電流の負転開始signature
3odd5.63観察されずnegative_not_observed
4even6.048.69W->passive->negative
5odd6.62観察されずnegative_not_observed
6even7.167.72W->passive->negative
7odd7.708.16W->passive->negative

正式な分類は odd_even_alternation_candidate で、これは事前確約のうち連続量側に基づきます(backflow_amount_post_peakpost_peak_W_loss_fractionDelta_passive_peak_to_t10 の3量が非ゼロの交互局所差 A_4, A_5, A_6 を示す)。しかしカテゴリ的な偶奇条件は満たされていません。N=7(奇数)はN=3・N=5の negative_not_observed ではなく偶数群の W->passive->negative を共有し、奇数群の共通性を破ります。t_W_peak_end も交互ではなく鎖長とともに滑らかに変化します。したがって慎重な言い方は:単純な奇偶則は確認されず、一部の連続量に局所的な交互差が見えるだけ、となります。これはparityの機構でも、普遍的なparity秩序変数でも、統計的に有意な差でもありません。N=3..7 の数値品質:各1001点、状態/ソルバの非有限0、最大連続性残差 1.373e-5(< 5e-4)、最大トレース誤差 2.220e-15、最大エネルギー帳簿残差 5.197e-7。N=7は頑健positivityのフォールバック点を1つ含みます(再利用した11M軌道と整合)。

post-11k の小実験(保存済み軌道への投入依存性)

Milestone 11kまでに得た保存時系列と裾の構造をもとに、機構の仮説とは切り離して、大きな計算に進む前に3つの小さな問いを既存の保存軌道上で調べました。新しい理論や機構は提案しません。新しい軌道を走らせたのは実験3のみ(eta=0.75 の1本)で、実験1と2は保存軌道の再利用(新しい時間発展なし)です。

  • イベント順序(Case B)。合計ノイズ入力 eta = 0, 1.5, 3.0 のあいだで、指標ごとのイベント順序は一致しませんでした(主な違いはusableイベントの位置)。投入に依存しない共通のイベント順序は支持されません。この問いはここで止めます。
  • コヒーレンス vs W(Case D、比較不能)。3本の軌道は共通の絶対 W 範囲を持たず(共通下限 1.3085e-2 が共通上限 6.9917e-4 を上回る)、等しい W での生の C(W) 比較ができません。これは共通のC(W)関係の支持でも不支持でもありません。「比較不能」は否定的結果ではありません。
  • Wピーク vs 合計位相ノイズ(Case A)。既存の eta = 0/1.5/3.0 の点だけを使い、指数減衰の候補 W_peak(eta) = A exp(-k eta) とその予測を事前に固定しました(A、k、閾値、eta = 0.75 を PRECOMMIT.md に確約)。その後 eta = 0.75 の軌道を1本新規実行(1001保存点、数値チェック通過、completed_with_fallback_diagnostic):予測 9.3038620128203936e-3、観測 9.1509856038800939e-3、相対誤差 1.643150%、判定 phase_noise_W_peak_exponential_candidate_retained。事前確約後に評価した追加1点が、あらかじめ決めた閾値の範囲で一致した、というのが結果であり、指数減衰の候補は暫定的に保持されます。指数則の確立ではありません。3点のR二乗は判定に使っていません。eta = 0.75 を見たあとに A、k、閾値を変更していません。2つ目のetaも代替モデルも走らせていません。

言えること:この有限モデル・有限条件では、イベント順序は投入依存(Case B)、保存軌道は等しい W で比較不能(Case D)、事前登録した追加1点はあらかじめ決めた閾値の範囲で固定した指数減衰候補と整合し、その候補は暫定保持(Case A)。

主張しないこと:普遍法則なし、新しい量子チャネルなし、因果機構の発見なし、コヒーレンスが W を決めるという主張なし、指数則の証明なし、一般のスケーリング則なし。W_time_area は状態量の時間面積であって累積抽出仕事ではなく、usable fraction と passive エネルギーは独立した性能量として扱いません。

4. 現在の主な観察

以下は3種類に分けて示します。ラベルの文字(観察記述的サポート未確認)でも区別できます。色だけに頼らずお読みください。

観察directly validated findings(直接検証された観察)
記述的サポートdescriptive model support(記述的なモデルの支持)

これらは記述的な形の診断であり、いかなる物理機構の証拠でもありません。

反実仮想の分岐応答(M13A)。曲線フィットではありませんが、証拠の種類としては同じ枠に入ります。同一の状態を共有し、分岐時刻以降に適用する生成子だけが異なる分岐どうしの、記述的で有限窓の比較です。B3(結合を半分)の分岐はB0基準よりも W_coh の減少が弱く(端点 W_coh 相対差 +6.142% / +6.147%、時間面積の相対差 +1.467% / +2.103%)、B4のゼロ結合境界コントロールは通過しました。これはこの窓の中で、観察された W_coh の減少が鎖-load結合に感度を持つことを示すもので、機構でも、保護方式でも、最適値でもありません。B1(dephasing)とB3(結合)のパーセントは互いに順位づけしていません。保存値のみを再解析したM13Bは内部の応答順序を一意に決められませんでした(temporal_response_inconclusive)。それは保存された時間解像度の限界であり、上のB3の結果を取り下げるものではありません。

未確認what has not been confirmed(確認されていないこと)

詳細は 7. 限界と未確認事項 にまとめています。要点だけ挙げると:量子的優位性、古典手法への優位、普遍的スケーリング則、物理機構、因果関係、制御・抽出の実装コスト、繰り返し動作、t=10より先の挙動、parity機構、そして文献上の新規性(文献調査は行っていません)。

代表値の一覧(Current main results)

代表値のみです。すべてこのモデル、これらの条件、この有限時間、この実装について直接観察された結果であり、一般法則ではありません。完全な表はレポートとCSVにあります。

5. M12〜M15Aの観察の流れ

以下は観察が得られた順序に沿って並べています。この並びを因果の機構として読まないでください。どの段階でも、原因と結果の関係は確認されていません。

(1) W = W_coh という有限条件での分解結果(M12A)

M12はM11Mのmatched N=7条件を固定したまま(TOTAL_GAMMA=1.5Omega = 0.18748395731510084dt=0.0025、t=0..10、1001保存点、真空初期状態)、loadの取り出せる仕事のピーク後の減少について3つの記述的な問いを立てます:どの成分が変わるか(12A)、どんな時間順序か(12B)、その周りでload-鎖の相関はどう振る舞うか(12C)。マッチングのやり直し、再最適化、根の探索、細dtの実行、他のN/gamma/Omegaはいずれも行っていません。

12Aでは、同じ固定条件で新しい軌道を1本走らせ、既存のエネルギー基底の規約(H_L = diag(0,1,2))で load ergotropy を W = W_pop + W_coh に分けます(W_pop = W(Delta_H(rho_L)) が対角=population部分)。すべての保存時刻で W_pop = 0、したがって W = W_coh。t = 7.70 → 10.00 で Delta W = Delta W_coh = -1.0587822145716654e-3Delta W_pop = 0Delta E_load = -1.8634507496082930e-4Delta E_passive = 8.7243713961083613e-4。観察された符号付きのWの減少は、まるごと W_coh の減少として記述されます。

ただし事前登録していた比のルールは両方の成分が正の値で減少することを要求しており、L_pop = 0 により比が定義できなくなったため、正式な分類は component_change_inconclusive です。この判定は事前確約したルールが適用できなかったことを表すもので、分解が失敗したという意味ではありません。分解自体は厳密です(max |W - (W_pop + W_coh)| = 0)。数値品質20/20 PASS、M11M集約8/8 PASS(最大絶対差0)、正式入力SHA-256 7/7不変。population部分とcoherent部分は独立に保存される量でも、別々の物理エネルギーでもありません。

(2) 時間的な前後関係(M12B・M12C)

12Bは新しい時間発展なしで、12Aの保存1001点の系列だけを、事前登録した5区間の持続ルール(M12B_PRECOMMIT.md。平滑化、フィット、FFT、極値の補間なし)で読みます。保存格子上の順序は次のとおりです。

EventTime
site7→load電流の減少開始t = 7.50
W_coh ピーク / 持続的減少t = 7.70 / 7.70
Cl1(コヒーレンスのl1ノルム)ピーク / 持続的減少t = 7.73 / 7.73
電流のゼロ交差t = 8.15
電流の持続的な負の開始t = 8.16
電流の持続的な正への復帰t = 9.68

正式分類 coherence_and_ergotropy_decline_before_negative_current(3/5/7区間の感度はすべて一致)。持続的な負の電流は W_coh の減少開始より 0.46 遅く始まるので、「電流が負に転じたことが W_coh の減少を始めさせた」という単純な説明は時間順序から支持されません。これは順序についての記述だけであり、電流と W_coh のあいだにどちらの向きの因果関係も確立されていません。チェック15/15 PASS、W = W_coh の最大差0、入力SHA-256 3/3不変。電流の積分は状態由来量の時間積分であり、仕事、効率、損失、散逸、熱ではありません。

12Cは同じ固定条件で新しい完全軌道を1本走らせ、load-鎖の相互情報量 I(C:L) = S_chain + S_load - S_total(自然対数、nat)、個々のエントロピー、purityを全1001保存時刻で評価します。MIの大域ピークと5区間の持続的減少はどちらも t = 7.51 にあり、ピーク値は 4.5985207125390781e-3 nats。これは t=7.70 の W_coh ピーク/減少より 0.19 早い。正式分類 mutual_information_peaks_before_Wcoh_decline(3/5/7区間の感度格子で不変)。数値品質29/29 PASS、既存の正式成果物のSHA-256 30/30不変、M12Aとの共通量は最大絶対差0で再現。相互情報量は古典相関と量子相関を含む全相関の観測量であり、仕事でもergotropyでもentanglementでもありません。MIの減少が W_coh の減少を引き起こしたとか、W がMIに変換されたといった主張はしていません。

(3) couplingを半分にした短時間branch(M13A・M13B)

13Aは、M12Cと同じ保存済みの全系状態から出発し、分岐時刻以降の生成子だけを変えた短い分岐を、0.01の保存格子で t=8.50 まで伝播させました。分岐開始は t=7.50 と t=7.70 の2つ(正式保存行は合計728行)。

B3は両方の分岐開始で同じ正式分類 weaker_coupling_weakens_Wcoh_decline を与えました。

分岐開始端点 W_coh 相対差W_coh 時間面積の相対差
7.50+6.1424321151409798 %+1.4670925175957812 %
7.70+6.1471886834895455 %+2.1027954259932112 %

B1は開始時刻で結果が異なり、平均していません(7.50では dephasing_counterfactual_mixed、7.70では future_dephasing_change_has_small_effect)。B4は両方の開始で zero_coupling_boundary_control_pass。数値品質の行はすべてPASS(最大トレース誤差 1.776e-15、エルミート性誤差0、フォールバック不使用、分岐後のdriveは0)。

許される要約は正確に次のとおりです:同じ状態から出発し、分岐後に鎖-load結合を半分にすると、通常の結合を保つ基準に対して、有限窓のなかで W_coh の減少が一貫して弱くなった(両方の分岐開始で)。明示的に主張しないこと:結合が W_coh 減少の唯一の原因であること、弱い結合が常に良いこと、最適な結合が見つかったこと、結合を半分にすることが何らかの機構で W_coh を守ると示されたこと。B1とB3のパーセントは、どちらの操作が「より効く」かを比べる形では対照していません。W_coh の時間面積は状態量の時間積分であり、累積抽出仕事ではありません。

M13B:応答の内部順序は決められなかった(解像度の限界)

13Bは13Aの正式保存CSVだけを使い(新しい軌道0、新しい分岐0、新しいパラメータ条件0)、どの保存観測量が最初に持続的な B3−B0 の差を作るかを問います。凍結した5区間ルールでは:

ところが3区間ルールでは主要な状態量が W_coh と同時になり、5区間・7区間ルールでは開始時刻依存が出ます。3/5/7 × epsilon(×0.5/×1/×2)の格子全体で分類は安定しません(Wcoh_and_other_differences_emerge_togetherbranch_response_order_depends_on_start_time)。したがって正式分類は temporal_response_inconclusiveこれは解像度の限界であって計算の失敗ではなく、13AのB3結果の否定でもありません:数値監査は 35/35 PASS、正式M13A入力のSHA-256は 11/11 不変、M13AのB3分類と相対差は1e-12以内で再現します。分岐時刻での電流の即時差は構造的です(電流の式そのものに、変更した結合係数が入っているため。current_B3 = 0.5 * current_B0 と監査済み)。これを、電流が後の W_coh の差を引き起こしたとは読みません。また、passiveエネルギーがcoherent ergotropyに変換されたことや、相関の抑制が仕事を守ったことも示されていません。

ここまでの位置:M12はピーク後の W_coh 減少について、成分(W = W_coh、12A)、時間順序(12B)、load-鎖相関(12C)を記述しました。M13Aは同一状態からの生成子変更に対する有限時間の応答を調べ、両方の分岐開始で結合を半分にすると W_coh の減少が弱まることを見いだしました。M13Bはその分岐の内部応答順序を、利用できる保存解像度では一意に決められませんでした。結合への感度は確認された観察であり、具体的な物理機構と最適条件は未決定のままです。

(4) switching-work accounting(M14)

M14は、M13Aの結合変更を行うのにモデルのハミルトニアン帳簿の内側でどれだけの仕事がかかるかを問い、その帳簿をstateの帳簿と厳密に分けます。以降で使う固定のプロトコル名:

Protocol定義対応
C0g = 0.25 のままM13A B0
C1g: 0.25 -> 0.125 を t=7.50 で、8.50 まで保持M13A B3、開始7.50
C2g: 0.25 -> 0.125 を t=7.70 で、8.50 まで保持M13A B3、開始7.70

g=0、追加の結合値、スイッチバック、ramp、フィードバック、複数回スイッチはいずれも認めていません。

14A(設計のみ)は設計と監査のMilestoneで、正式な制御軌道も、結合の掃引も、最適化も、rampも実行していません。実装された相互作用項(H_CL(g) = g V_CLV_CL = sigma_plus_N b + sigma_minus_N b_daggerg に厳密に線形)を監査し、driveの包絡線が t > tau=3.2 で厳密に0であること(したがってスイッチ後のプロトコル差はdrive投入の差ではないこと)を確認し、理想quench規約 W_switch_on_system = Tr[rho(t_s)(H_after - H_before)](正=外部制御器からモデル系へ供給。quenchを挟んで状態は不変)を固定し、3つの分離した帳簿(状態量、switching work、スイッチ後エネルギー)を固定しました。これらは合算も減算もされません。伝播なしの単位チェックは 11/11 PASS。再利用の監査では、M13Aの成果物が完全な密度行列も Tr[rho V_CL] も保存していないことが分かり、判定は single_prefix_recomputation_required(基準prefixを1本だけ再実行)。最終の設計判定は coupling_control_experiment_ready、推奨は Plan B

14 Plan B(実行)では、基準prefixを t=0 から t=7.70 までちょうど1本伝播させ、t=7.50 と t=7.70 で完全な密度行列を保存し、理想的な同一状態スイッチを両方で評価しました。新しいスイッチ後の分岐、結合値、掃引、ramp、抽出、最適化、細dt実行、t>8.50 の伝播はすべて 0。M13AのC0/C1/C2のスイッチ後状態軌道はそのまま再利用しています。

Protocolswitch timeW_switch_on_systemW_switch_out
C17.501.6980822985791084e-15-1.6980822985791084e-15
C27.708.8624029002963674e-16-8.8624029002963674e-16

どちらの理想quenchのエネルギー跳びも固定の 1e-12 監査許容差を下回るので、正しい記述はこの許容差のもとで数値的にゼロです(状態 numerically_zero_within_1e-12_audit_tolerance)。ハミルトニアン跳びの仕事が数値的にゼロであることは、実際の制御器が無料であることを意味しません:このモデルにはアクチュエータのハミルトニアン、有限のramp、帯域幅、装置コストの帳簿がありません。M13Aの状態値を再利用した正式な複合分類は、C1・C2の両方Wcoh_improves_with_load_energy_tradeoff + switching_accounting_available。端点 W_cohW_coh 面積がそれぞれ1%以上改善する一方、端点のloadエネルギー保持率は固定の99%閾値を下回ります(C1:W_coh 端点 +6.142%、面積 +1.467%、保持率 97.159%。C2:W_coh 端点 +6.147%、面積 +2.103%、保持率 98.961%)。数値チェック 22/22 PASS、M13AのB0量は両スイッチ時刻で最大絶対差 3.839e-13 で再現、ソース/正式入力のハッシュ15/15不変。報告されたswitching workの比はスケールの診断量であり効率ではありません。switchingの帳簿は、利益や「正味で守られた W_coh」や制御効率の主張には変換されません。

(5) t=8.50での単一回のideal extraction(M15A)

M15AはC0とC2だけを 7.70 から 8.50 まで伝播させ、単一の固定評価時刻 t = 8.501回の理想的な局所抽出を行います。正式な比較は C2 − C0 のみ。判定 state_improvement_preserved_after_extraction、必須の数値失敗は 0

t=8.50 での量C0C2C2 − C0
W_coh(抽出前)3.0626774684866464e-33.2509460312412416e-31.8826856275459521e-4
loadエネルギー(抽出前)6.601877630500e-36.533284638378e-3-6.8592992121339208e-5
W_load_gross3.0626774684866503e-33.2509460312412546e-31.8826856275460432e-4
W_operation_out_total3.062677468536e-33.250946031265e-31.8826856272917414e-4
interaction jump-4.957529045397e-14-2.416320556056e-142.5412084893412970e-14
抽出後のload ergotropy000

gross-workの差は抽出前の W_coh の差を残差 9.1072982488782372e-18(比 1.000000000000)で再現します。相互作用項の跳びの差が 2.5412084893412970e-14 と小さいため、bare-loadの会計と全ハミルトニアンの会計は比較について同じ符号を与えます。数値と来歴のチェックは 40/40 PASS(トレース、エルミート性、positivity、抽出後のergotropyゼロ、M13A端点の再利用、M14状態のSHA-256、switching会計の再利用を含む)。

許される結論は正確に次のとおりです:t=8.50 において、C2に対する1回の理想的な局所抽出は基準C0より大きなgross extracted workを与えた。C2−C0のgross-work差は抽出前の W_coh 差と数値精度の範囲で一致した。相互作用項を含む全ハミルトニアン会計でも比較の符号は変わらなかった。つまり、状態レベルの改善はこの1回の理想的な局所抽出を通じて保たれました

帳簿は分けたままです。W_coh、loadエネルギー、switching work、W_load_grossW_operation_out_total を単一の「利益」に足し合わせることはしません。M14 Plan B のC2のswitching work(8.8624029002963674e-16)は参照のために併記しているだけで、どちらの抽出仕事の列とも組み合わせません。15Aで行っていないこと:新しい結合条件、掃引、ramp、最適化、フィードバック、測定、複数回の抽出、他のN/gamma/Omega、t=8.50 を超える伝播。ここにあるのは、最適制御でも、仕事のただの増加でも、効率の改善でも、確認された正味利益でも、制御器コストがゼロという主張でも、実験ハードウェアの優位でも、量子的優位性でもありません。

(6) C2のt=10延長(補足。新Milestoneではありません)

この補足比較は、t=8.50 で観察された C2 − C0 の bare-load ergotropy 差が、その窓の端点による見かけのものかどうかを問います。新しいMilestoneではありません。M14 Plan B で正式保存された t=7.70 の全系状態を、C2(g=0.125)で 1回・連続に t=10.00 まで伝播させました。t=8.50 での抽出なし、スイッチバックなし、再マッチングなし、正式軌道の分割なし。固定条件:N=7、TOTAL_GAMMA=1.5、サイトあたり gamma 1.5/7Omega=0.18748395731510084、再開時刻 7.70、終了時刻 10.00、内部 dt=0.0025、保存間隔 0.01、内部920ステップ、231保存点、driveは厳密に0。C0の長時間窓基準は M12A のCSVで、明示的な成果物監査で固定しました。主分類 C2_advantage_positive_at_t10

tW_C0W_C2Delta W相対差
8.503.062677468487e-33.250946031241e-3+1.882685627546e-4+6.147189%
9.682.417441223901e-32.999355919229e-3+5.819146953273e-4+24.071514%
10.002.326467906728e-32.972492411029e-3+6.460245043013e-4+27.768468%

t=8.50 以降、差は150個の保存区間すべてで増加し(減少0、ほぼ平坦0)、ゼロ近傍に達することも負に転じることもありませんでした。差の大域最小は t=8.50、大域最大は t=10.00 で、内部に局所極値はありません。これはC2−C0の差についての記述であって、C2そのものについてではありません。C2は t=8.50 以降に新しいWピークを作っていません。窓内のWの最大は t=7.70 のまま(3.3852501212993710e-3。C0の最大と同じ値)で、差が広がったのはC0の減少の方が速いためです(t=10 の保持率はC2が 87.807172%、C0が 68.723664%)。7.70..10.00 の ergotropy 時間面積は A_C0 = 6.5655097929267292e-3A_C2 = 7.2916111984482872e-3A_Delta = 7.2610140552155800e-4、相対差 +11.059330%。これらは瞬時の bare-load ergotropy の時間面積であり、累積抽出仕事ではありません。t=10 での付随するエネルギー差は Delta E_load = +2.106309466093e-5Delta E_passive = -6.249614096404e-4、エネルギー恒等式の残差は0。site7→loadの電流は既存の定義のもとでの観察としてのみ記録され、ergotropy差の説明には使っていません

監査:必須の数値チェック 28/28 PASS、既存成果物の再現チェック 15/15 PASS、SHA監査 PASS。C0の短窓/長窓の観測量の残差は0、C2の t=7.70..8.50 の再現残差は0、M15A の t=8.50 の値は最大残差 9.107e-18 で再現します。固有値ソルバのフォールバック数0、正式ランタイム 682.479 秒。

範囲:これは1本の保存状態の1回の伝播を、1つの固定基準に対して比べた、有限条件・保存格子上の比較です。この延長では抽出を行っていません。プロジェクト内の正式な抽出は、いまも M15A の t=8.50 における1回の理想的な局所抽出だけです。これは、一般の弱結合やC2の優越、最適な結合・スイッチ時刻・抽出時刻、いかなる因果機構、passiveエネルギーのergotropyへの変換、switchingと抽出の仕事を合わせた正味利益、繰り返しや周期動作、定常出力、t=10 より先の挙動、他のN/gamma/Omega/g、効率の改善、量子的優位性のいずれも確立しません。ここで advantage という語が使われている場合、それはこの固定された有限条件のもとでの bare-load ergotropy 差の符号だけを意味します。

6. 検証と再現

観察検証済みの部分

各段階のレポートは cargo fmt のPASS、解析バイナリのPASS、そしてリリーステスト数を記録しています(例:M2は26テスト、M5aは 47 passed / 0 failed / 1 ignored、M10bは101、M10cは104、M10 Finalは107、M11cは110、M11dは113、M11eは116、M11f と M11h–M11k は119、いずれも 0 failed / 1 ignored)。9c validationの実行時チェックは 47/47 PASS、頑健固有値診断の必須チェックは 10/10 PASS。11j と 11k は解析の前後で入力をSHA-256で検証しています。

後半の段階もそれぞれのランタイムと監査を報告します。M14Aの設計チェックは時間発展を必要とせず(ビルド後 3.455 秒、11/11 PASS)。M14 Plan Bは3080ステップの基準prefixを t=7.70 まで 2177.4 秒(36.29分。構築 5.2 秒、prefix 2169.8 秒、2状態の診断/書き出し 2.4 秒)で伝播し、22/22チェックPASS、15/15ハッシュ不変。M15Aは 40/40 の数値・来歴チェックPASSを報告します。Plan Bで保存された2つの 384×384 状態は、行優先リトルエンディアンの complex-f64 バイナリ(QWNRHO1 メタデータ付き、各 2,359,320 バイト)として保存され、m14_plan_b_state_files.csv で個別にハッシュされています。補足のC2延長は正式ランタイム 682.479 秒(11.37分)で、必須数値チェック 28/28 PASS、既存成果物の再現チェック 15/15 PASS、SHA監査PASS、固有値ソルバのフォールバック数0。抽出していないC2状態2つ(c2_pre_extraction_state_t850.binc2_pre_extraction_state_t1000.bin)を同じ QWNRHO1 形式で、それぞれSHA-256を記録して保存します。

再現ZIPの役割

完全な再現パッケージは、リポジトリの zip/ ディレクトリにMilestoneごとのZIPアーカイブとして置かれています。ソースコード、レポート、CSV出力、監査ファイル、その段階に必要な保存状態は、対応するアーカイブの中に入っています。GitHubリポジトリのルートに個別ファイルとしてすべてが展開されているわけではありません。

該当するアーカイブをダウンロードして展開し、その Cargo.toml があるディレクトリから以下を実行します。Rustツールチェーンが必要です(Cargo.toml:edition 2021、依存 nalgebranum-complexthiserror、dev依存 approx)。アーカイブの中身は段階によって異なるため、下に挙げたバイナリやデータファイルは、その段階のパッケージにしか無いことがあります。

cargo fmt --all -- --check
cargo test --release --offline
cargo build --release --offline
# opt-in 24-dimensional smoke test:
cargo test --release full_24d_short_time_smoke_test -- --ignored --nocapture
代表的なMilestoneバイナリと実行時間の目安
cargo run --release --offline --bin time_dependent_sanity          # M5a
cargo run --release --offline --bin dephasing_kernel_benchmark     # M8c
cargo run --release --offline --bin n7_noise_free_full             # M9a
cargo run --release --offline --bin n7_all_site_noisy_full         # M9b
cargo run --release --offline --bin fixed_total_noise_comparison   # M9c
cargo run --release --offline --bin n7_t002_eigen_diagnostic       # M9c diagnostic
cargo run --release --offline --bin n7_fixed_total_validation      # M9c validation (source of truth)

N=7の完全実行は数十分の桁になります(例:9a 約2953秒、9b 約2899秒、9c validation 約2703秒)。

未確認検証で分かっていない部分

上記のチェックはいずれも、この実装が指定の条件で指定の値を出したことの確認です。物理的な機構、因果関係、他条件への一般化、実デバイス上での挙動については、何も確認していません。詳しくは次節をご覧ください。

7. 限界と未確認事項

このリポジトリが提供しないもの

ここにあるのは「この物理モデル、これらの初期条件、この有限時間、このRust実装について直接観察された値」です。とくに、このプロジェクトは以下を行いません

未確認What has not been confirmed

8. 確認を要する項目(Items requiring confirmation)

2つの元READMEを統合した際、数値や判断の矛盾は見つかりませんでした(Milestone 10は両方に現れ、統合済みです)。次の各点は提供資料からは解決できなかったため、推測せずに未解決のまま残しています。

9. 詳細資料

以下のファイル名は、該当するMilestoneの再現ZIPの中のファイルを指します。一部のレポートは、ブラウザで読めるように reports/ にも置かれている場合があります。各レポートは自分のCSV一式を列挙しています。リポジトリ全体は GitHub にあります。

ここではファイル名のみを示します(個々のファイルへの直接URLは推測していません)。

リポジトリとアーカイブの構成
README.md                 # integrated project overview
LICENSE                   # MIT license
zip/                      # Milestone-specific complete reproduction packages
  *.zip

reports/ は選んだレポートをブラウザで読むための便宜的なディレクトリです。zip/ の再現パッケージが、ダウンロードして段階を再現するための自己完結した記録です。したがって1つのレポートが、ブラウザ用のコピーと対応するZIPの中の両方に現れることがあります。展開後の典型的な内部構成はレポート側に記載されています(アーカイブによっては後半段階のファイルやバイナリを含みません)。

この構成はアーカイブの中身を説明するもので、GitHubリポジトリのルートではありません。個々のCSVの完全な一覧は、該当ZIP内の各MILESTONEレポート末尾にあります。

引用とライセンス

License: MIT(Cargo.toml / LICENSE を参照)。引用の際は、このリポジトリと、使った結果の根拠となる個別の MILESTONE_*.md レポートを参照してください。各レポートが、その数値の正確な条件と留保を定義しています。