SOCIETYLAB v1.4 — APPENDIX

付録——ファイルと監査資料の案内

このページは本文エッセイの一部ではない。リポジトリに置かれたPythonファイル、結果、監査記録、そしてアーカイブが、それぞれ何であって何でないかを記した案内である。

案内

全体の地図

リポジトリの構成はこの通りである。本線の検証に必要なのは src/ の4ファイルと results/ の3ファイルだけで、それ以外はすべて読解の補助か、来歴の保存にあたる。

src/ モデルと実験コード(本線) results/ 結果JSONと監査記録(本線) docs/ ドキュメント ja/ 日本語版一式 archives/ 生ログ・除外された系譜(来歴保存用)

中心ファイル——モデルと実験

4つのPythonファイルで本線の全実験が再現できる。外部依存は bridge.py のimport解決に使うnumpyのみで、計算そのものは標準ライブラリだけで走る。

society_lab_v1_4.py本線・大元

v1.4本体。三十人前後の村を八十年走らせる、約1,200行の単一ファイルである。村人の属性(年齢・健康・飢え・恐れ・カリスマ・声の重み・信頼)、年次サイクル(収穫→危機→提案→支持→計画→記憶→死亡→出生)、記憶の伝播と歪み、そして三種の解釈(霊的・実際的・帰責的)がここに定義されている。

本文で述べた三%の解釈ナッジもこのファイルの中にある。設計規則——宗教・身分・権威を状態変数として持たないこと——はファイル冒頭に明記されている。まず読むならこれ。

stream_separation.py本線・中心実験

RNGストリーム分離実験の本体。乱数を支持・死亡・出生などサブシステム別の独立ストリームに分け、毎年 hash(seed, year, stream) で再シードすることで、簿記アーティファクトの伝播を構造的に遮断する。

三つの実験を含む。E1: ナッジのオン対オフ(百シード)、E2: プラセボ一回注入、E3: 主要シードの因果階段トレース。実行すると stream_separation_results.json を出力する。実行時間は数十秒。本文第五章の数字はすべてここから出ている。

bridge.py接続層

v1.4本体を一切書き換えずに、ハードコードされたナッジを実験条件として切り替え可能にする薄いラッパー(ConfigurableSocietyLab)を定義する。ナッジ経路2本だけをオーバーライドし、scale=1.0でオン、0.0でオフになる。

このファイルには別世界(セルオートマトン等)との比較測定装置も同居しているが、本線の検証で使われるのは ConfigurableSocietyLab のみである。監査記録§4にその切り分けの開示がある。

society_lab_v1_4_1.py観測強化版

v1.4の挙動を保ったまま、事後読解のためのトレース面——人物の伝記、記憶の系譜、支持の連鎖、計画の余波、役割ラベル——を追加した観測ビルド。世界の力学を変えないことが設計上の制約であり、本線の検証(監査記録§2)では未使用と明記されている。生活レイヤー系の読解の足場になる。

結果と監査記録

本文の数値の出どころはこの3ファイルである。エッセイ中の数字で、ここに含まれないものは「崩れた見かけ」(結合RNG時代の38/100など)としてしか登場しない。

stream_separation_results.json原本

stream_separation.py が出力した原成果物。ナッジ25/100、プラセボ7/100、分岐シードごとの「最初に割れた観測チャネル」、シード1096の因果階段(Y46→Y52→Y55)などをすべて含む。比較の限界(分離世界は結合世界とは別世界であること)はファイル内のnoteに自記されている。

stream_separation_results_rerun_2026-06-11.json再実行

独立環境での再実行が出力したファイル。原本とSHA-256がバイト単位で一致する。乱数を消費順に依存しない設計のため、環境が変わっても同一出力になる——その設計主張の実証として置かれている。

audit_stream_separation_2026-06-11.md監査記録

再現確認の全手順。凍結ファイルのハッシュ一覧、実行環境、import解決のための充当(スタブ化)の開示、v1.4本体の来歴照合、結果の照合表、バイト一致の判定、そして採用時に併記すべき限界4項目(プラセボのストリーム依存性、別世界比較の限定、効果量の小ささ、出典の重複)が記されている。

第三者検収——別のAI・別の環境で同じ手順を踏むこと——は未了であり、その旨も記録自身が明記している。この記録とファイル一式を渡せば誰でも実施できる。

生活レイヤーのファイル

生活レイヤーは本線の因果主張に関与しない、独立した観察の枝である。本文第六章で述べたとおり、観察専用の形では基底のシミュレーションを一切変えず、ログだけを豊かにする。ファイルは本線と混ざらないよう、独自のREADMEを持つ枝として分けて置かれている。

life層 README観察の枝

このレイヤーが何を足すか(天気、茶屋・井戸・門・小道、物の痕跡、匂いと手触り、同じ場所への居合わせ、会話の影、なじみの影、記憶の影、時間の影)と、何を変えないか(人口・食料・出生・死亡・信頼・支持・計画の成否・記憶伝播)を定義する。

観察ラベルを文字どおり薄く読むべきこと——「同じ場所に居た」は友情ではなく、「会話の影」は信頼が動いた証拠ではないこと——への注意もここに書かれている。読解の入口として、対照的な二つのシード(1003と1061)が推奨されている。

life層 実装 / 検証ログ観察の枝

観察専用ビルドが基底のv1.4を変えていないことの検証(テスト済みシードでの基底世界の不変確認)と、その後の実験的な派生——まれな「記憶の影」が微小な信頼ナッジを生むかを試す枝——の記録。後者は観察レイヤーではなく統制された介入実験として扱われ、本線とも観察層とも区別されている。

除外された系譜とアーカイブ

このプロジェクトには、本線に採用されなかった系譜が意図的に残されている。捨てた理由ごと保存しておくことが、本線の節度の証明になるからだ。

v2系(増幅器の系譜)除外・保留

効果を出すために変数を足した派生群。蓄積インフラ(穀倉・井戸の永続化)、協力規範、支持の蓄積、評判、ヒステリシスなど。足せば効果は出るが、出た効果は足した設計の反映であって、v1.4の問い——最小の解釈ナッジは届くか——への答えにはならない。本文の言葉で言えば「因果検出から増幅器構築へ滑る罠」の記録であり、失敗・保留の枝として保存されている。成功作として読まないこと。

archives/(生ログ)来歴保存

人間と複数のAIの会話ログ原本。v1.0からv1.4への設計過程、seed1003の物語に引き込まれていった経緯と自己修正、検収で却下された数表、未解明のまま除外された異常結果などが、編集されない形で残っている。

注意

生のアーカイブは、通常の読解には必要ない。本文エッセイ、READMEと src/、そして監査記録だけで、本線の主張と検証はすべて追える。アーカイブは来歴の保存——どの数字がどこから来て、何が、なぜ捨てられたかを後から遡れるようにしておくこと——のために置かれている。研究の系譜を監査したい場合にだけ開けばよい。