独立した有限サンプルの観察的章
exit_distanceに沿って複数の区域が区別できること、missがmiss-frontに集中すること、そしてmissが位置座標と局所形状座標の組み合わせによって特徴づけられることを示す。
exit_distanceという距離で表し、その距離ごとに何が起きているかを地図にした。
これは観察の地図である。
中心となる座標はexit_distance(出口層からどれくらい手前にいるか)である。この距離に沿って読むと、待合広場は「ひとつの境界」ではなく、いくつかの区域が積み重なった小さな状態空間として見える。
具体的には、missが観察されない出口層(0–2)、観察された228件のmissがすべて含まれるmiss-front(3–8)、そしてk分布は変化するがmissは観察されないk-structure corridor(12–30)が区別される。さらに、単独の座標だけではmissをきれいに分離できない。一方で、位置を表す座標と局所的な形を表す座標を組み合わせると、この有限サンプル内ではmiss-only cellが現れる。
本章は、以上の観察結果をまとめたものである。
exit_distance 3–8(miss-front)に入り、3〜4付近が中心。exit_distance 0–2(出口層)ではmissは観察されない。| 座標 | 種類 | 意味 |
|---|---|---|
exit_distance | 位置 | バンド下端の出口層からの距離。0が出口、大きいほど奥。remaining_K_before − band_lower_edgeとして読む。 |
remaining_K_before | 位置 | そのステップの前に残っている評価質量。 |
transition_k | 局所的な形 | そのステップの評価値k。 |
residue_pair(例mod32) | 局所的な形 | イベントのresidue-pair座標。 |
| miss local type | ラベル | 既存のA / B / C1 / C2 / C3 / C_unassigned(そのまま再利用)。 |
「near behavior」ラベル(drift, wait, miss, exit)は、位置と既存のbehavior/missの結合から導いた観察ラベルであり、新しい型ではない。新しいmiss typeは導入しない。
exit_distanceで積み重なった区域が、最初の出口へ向かって下りていく。これは境界の地図ではなく概念図である。最初の集計では、広場をバンド内の位置でupper_hall / mid_hall / lower_hall / exit_layer(距離0–2)の4区域に粗く分けた。これは比率ベースの初期分割である。
| 区域 | events | 平均wait | 中央値 | k up / down / flat | miss |
|---|---|---|---|---|---|
| upper_hall | 16,322 | 23.467 | 22.0 | 4,702 / 4,367 / 4,859 | 0 |
| mid_hall | 22,555 | 22.183 | 22.0 | 6,732 / 6,346 / 8,450 | 0 |
| lower_hall | 27,456 | 18.876 | 19.0 | 8,957 / 9,023 / 8,531 | 228 |
| exit_layer | 10,197 | 17.489 | 20.0 | 2,346 / 1,372 / 6,363 | 0 |
lower_hallの粗いmiss typeの内訳:B:85, A:64, C_unassigned:50, C1:13, C2:10, C3:6。
4区域は同じではない。イベント数・wait・kのup/down/flatバランス・missの位置がいずれも異なる。出口層では動きの大半がflat(10,197件中6,363件)。
4箱は粗い分割である。missがすべて1つの箱に入ること自体は示唆的だが、結論ではない。R2では箱を連続座標に置き換えて、区域の形を確かめる。
箱をやめて連続座標exit_distanceで読むと、あらかじめ区分を与えなくても3区域が現れる:出口層(0–2)、miss-front(3–8)、k-structure区域(12–30)。
| 区域 | 距離 | events | miss | miss rate | dominant k |
|---|---|---|---|---|---|
| miss_front_3_8 | 3–8 | 14,743 | 228 | 0.015465 | 1 |
| k_structure_corridor_12_30 | 12–30 | 34,565 | 0 | 0.000000 | 1 |
両者はdominant k=1を共有し、k分布も近い(区域レベルのL1差0.16214)が、missの有無は決定的に異なる(228件対0件)。
12–30の区域はここではmissが0件なので、隣り合っていてもmissの区域ではなくk-structure区域として読む。個々の距離でkが似て見えるペアはあるが、区域レベルのmiss・behaviorプロファイルが両者を分ける。
4つのランドマーク距離について、支持(件数)と形を確認した。
| 距離 | events | dominant k | 上位2 share | k3 share | entropy | 読み |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 15 | 2,456 | 3 | 0.8388 | 0.5908 | 1.6309 | k3スパイク |
| 18 | 2,222 | 1 | 0.9154 | 0.0351 | 1.0182 | k1寄りのリセット(k3点ではない) |
| 23 | 2,228 | 1 | 0.8999 | 0.0471 | 1.2150 | 反転のk1寄り側 |
| 27 | 2,035 | 1 | 0.9253 | 0.0403 | 1.0209 | 外側の反転のk1寄り側 |
| zone候補 | 距離 | events | signature |
|---|---|---|---|
| approach_to_k3_spike | 12–14 | 5,136 | 12:1/2 → 13:1/2 → 14:2/1 |
| k3_spike | 15 | 2,456 | 15:3/1 |
| k2_to_k1_reset | 16–18 | 5,950 | 16:1/2 → 17:2/1 → 18:1/2 |
| k1_plateau_with_k4_tail | 19–21 | 5,699 | 19:1/2 → 20:1/2 → 21:1/2 |
| k2_k1_flip | 22–23 | 4,456 | 22:2/1 → 23:1/2 |
| outer_k1_k2_flip | 24–27 | 7,398 | 24:1/2 → 25:1/2 → 26:2/1 → 27:1/2 |
| outer_mixed_tail | 28–30 | 3,470 | 28:1/2 → 29:2/1 → 30:1/2 |
corridorはなめらかな勾配ではない。距離15は最も明確な局所スパイク(k=3がdominant、share 0.5908)。22→23と26→27はどちらもk2寄りの点からk1寄りの点へ反転し、距離18は16–17の遷移後のk1寄りのリセット点で、スパイクではない。
zone分割は記述的に支持されるが、機構・しきい値モデル・境界の集合として扱うべきではない。corridorはこのサンプルでmissを持たない、局所的なkレジームの交互の連なりとして読める。
exit_distance 3–8に出る。出口層(0–2)には出ない。3→15:64, 4→15:47, 3→14:38, 4→14:18,…)、5–8へ細っていく。kの内訳は小さいkが支配的(k1:9,142; k2:3,358; k3:1,433; …)。32-63→32-63:9,704; 64-127→64-127:4,143; 128-255→128-255:668)。miss-front内のラベルはB:85, A:64, C_unassigned:50, C1:13, C2:10, C3:6。expanded parityでは、名前付き/短い型が短い語に乗り(B系でOEEEEEO:85、A系でOEEEEO:64)、残りはより長い語へ広がる(OEEEEEEO:44, OEEEEEEEO:19, OEEEEEEEEO:8, … OEEEEEEEEEEEO:1)。
この有限サンプルでは、AとBはコンパクトで短い窓の型として読め、C_unassignedは1つのcellに集まらず、より長い窓の座標へ広く散らばる残余として振る舞う。これはラベルがどこに集中するかという観察であり、いずれかが必要・十分・機構的だという主張ではない。
全イベント表(76,530行;miss 228件;non-miss background 76,302件)に対し、4つの候補座標――位置2つと局所形2つ――でselector監査を行った。cellが「miss-only」とは、228件のmissをすべて含み、non-missを0件しか含まないことを指す。
| 座標 | matched | miss | non-miss | miss rate | miss-only? |
|---|---|---|---|---|---|
| exit_distance | 14,743 | 228 | 14,515 | 0.015465 | no |
| remaining_K_before | 13,802 | 228 | 13,574 | 0.016519 | no |
| residue_pair_mod32 | 275 | 228 | 47 | 0.829091 | no |
| transition_k | 4,946 | 228 | 4,718 | 0.046098 | no |
| ペア | matched | miss | non-miss | miss-only? | 組み合わせ |
|---|---|---|---|---|---|
| exit_distance + residue_pair_mod32 | 228 | 228 | 0 | yes | position + shape |
| exit_distance + transition_k | 228 | 228 | 0 | yes | position + shape |
| remaining_K_before + residue_pair_mod32 | 228 | 228 | 0 | yes | position + shape |
| remaining_K_before + transition_k | 228 | 228 | 0 | yes | position + shape |
| residue_pair_mod32 + transition_k | 275 | 228 | 47 | no | shape + shape |
| exit_distance + remaining_K_before | 13,802 | 228 | 13,574 | no | position + position |
miss-onlyになるペアはいずれも、位置の座標1つと局所形の座標1つの組み合わせである。失敗する2つは、ちょうど片側だけに留まる2つ――位置+位置はnon-missを13,574件、形+形は47件漏らす。3座標・4座標のselectorもmiss-onlyのままである。ただし、すでにposition–shapeのペアで分離できているため、追加的な分離能力はほとんど加わらない。4座標タプルはこの監査では冗長である。
これらは有限サンプル内のselector cellであって、規則ではない。「miss-only」とは、このデータの中でcellがmissを含みnon-missを含まない、という意味だけである。このサンプルの外で必要・十分・機構的だという意味でも、原因ではない。注目すべき構造は、因果ではなく形のほうだ:missは位置だけ・形だけで定まるのではなく、位置の座標と形の座標が一緒になって初めて分離される。
上のselector監査は、監査対象のイベント集合の上での2つのselectorに関する1つの式としてまとめて書ける。これは観察結果をコンパクトに表したものであり、有限サンプルを超える主張ではない。
Ω_N を監査対象のband-internal event rows全体、M ⊆ Ω_N を観測されたmiss-event集合とする:
miss-front の位置 selector と miss-supported な局所形 selector(後者は miss event 自身が占める residue-pair 値から作る)を次のように定める:
S_shape は residue_pair_mod32 単独で定義する。transition_k は主定義に加えない:これを足しても S_shape が拾う non-miss 行は消えず(漏れは47件のまま)、形の側は追加の分離情報を持たない ―― 分離を与えているのは位置の側だからである。
ここで S_shape は miss-supported selector であり、M で観測された residue-pair 値から定義し、それを Ω_N 全体に戻して照合したものである。したがって、この恒等式は独立な予測規則ではなく、有限サンプル内の support check である。
この有限サンプルでは、どちらの selector も M をすべて含むが、単独では M を隔離しない:
一方、両者を同時に課すと余剰行はちょうど消える:
この最後の式を 有限サンプル内の selector identity と呼ぶ:Ω_N の中で成り立つ経験的な等式である。これは標本外の必要条件・十分条件の主張ではなく、miss が起きる理由についての主張でもない。監査対象の行の中で、この2つの selector の同時条件が観測された miss-event 集合をちょうど選び出す、ということだけを述べている。
S_shape \ M の47件は散発的なノイズではない。このサンプルでは全件が miss-front の外側、exit_distance 35, 36, 37 にあり、near_behavior = drift である:
つまり、miss-front に現れるのと同じ residue-pair の形が、これら上位の位置にも現れるが、そこでは miss ではなく drift として実現されている。P_pos を同時に課すと、この上位位置の drift counterpart がちょうど除かれ、P_pos ∩ S_shape = M が残る。(形 selector に transition_k を足してもこれらの行は消えない。消すのは位置である。)
状態空間の2つの軸に沿って読むと:
3–8 の窓は non-miss 行を14,515件含む;Ω_N 内で観測された miss event を隔離する ―― 両者の同時条件はちょうど M に等しい。これは本章の他の部分と同じ「どこ(where)×どう(how)」の読みを、この有限サンプル内でたまたま成り立つ等式として書いたものである。機構・原因・証明・反例・コラッツ全体への主張は一切含まない。
kバランス、missの位置が位置によって変わる。C_unassignedが最も散らばるラベル(R4)。P_pos ∩ S_shape = M(Ω_N 内、selector identity)。状態空間として読むと、広場には「どこ(where)」の軸(exit distance /位置)と「どう(how)」の軸(局所形:k・residue・parity)がある。
miss-frontはその両軸が一緒に何かを選び出す区域、corridorは「どう」の軸は変わるがmissとしては何も選ばれない区域、出口層は基準層にあたる。
これは境界の地図ではなく状態空間の概念図であり、有限でmiss-event-localな観察だけから組み立てたものである。
本章は、有限サンプル内で観察された待合広場の内部構造を記述する。主張するのは、exit_distanceに沿って複数の区域が区別できること、missがmiss-frontに集中すること、そしてmissが位置座標と局所形状座標の組み合わせによって特徴づけられることに限られる。
したがって、本章は次のことを主張しない。
exit_distanceやresidueがmissの原因であること。ここでいう「miss-only selector」とは、この有限サンプル内で、該当するcellにmissが含まれ、non-missが含まれなかった、という意味である。規則、原因、十分条件を意味するものではない。新しいmiss typeは導入せず、既存のA / B / C1 / C2 / C3 / C_unassignedラベルをそのまま使う。
| 図・成果物 | 役割 |
|---|---|
waiting_hall_interior_map.png | R1 ―粗い4箱の広場 |
band_position_flow_map.png | R1 ―区域間の下向きの流れと出口 |
k_by_hall_zone_heatmap.png | R1 / R2 ―粗い区域ごとのk分布 |
exit_distance_miss_rate_plot.svg | R2 / R4 ―連続exit_distanceに対するmiss rate |
k_change_by_exit_distance.png | R2 / R3 ―距離ごとのk-changeスコア(ランドマーク15 / 18 / 23 / 27) |
k_structure_corridor_heatmap.png | R3 ― 12–30の距離ごとのkヒストグラム |
| selector図(上の図2) | R5 ― position × shapeのmiss-only cell |
| state-space図(上の図1) | R6 ―出口層/ miss-front / corridorの積み重ね |
glossary_ of_ Terms_ja.png | 用語一覧 ― Collatz terminology / 日本語・英語対応表 |
5本の有限サンプルレポートを、レポートごとに列挙するのではなく、ひとつの流れ(R1 → R6)に再編成している。関連コードはGitHubへ。
| レポート | 節 | python |
|---|---|---|
waiting_hall_interior_report.md | R1 ―粗い4箱の広場 | waiting_hall_interior_audit.py |
hall_zone_comparison_report.md | R2 ― miss-frontとcorridorの比較 | hall_zone_comparison_audit.py |
zone_coordinate_contrast_report.md | R2 / R4 ― kが似た距離ペア、residue/parity | zone_coordinate_contrast_audit.py |
k_structure_corridor_report.md | R3 ― 12–30 corridor | k_structure_corridor_audit.py |
minimal_miss_selector_report.md | R5 ―最小のmiss-only selector | minimal_miss_selector_audit.py |
本章は、既存のParadoxical-Sequence章(64-95 → 32-63境界でのfirst-pass faces)とは独立しており、これを書き換えるものではない。本章はその境界の手前にある空間を扱う。