State-Space Anatomy of the Waiting Hall

独立した有限サンプルの観察的章

対象データ:band-internal event rows 76,530件・ miss events 228件・ non-miss background rows 76,302件

本章が示すこと。本章は、有限サンプル内で観察された待合広場の内部構造を記述する。exit_distanceに沿って複数の区域が区別できること、missがmiss-frontに集中すること、そしてmissが位置座標と局所形状座標の組み合わせによって特徴づけられることを示す。
入口 ある数の通り道を「駅の構内」に例える。出口(改札)からどれくらい手前にいるかをexit_distanceという距離で表し、その距離ごとに何が起きているかを地図にした。 これは観察の地図である。

概要

中心となる座標はexit_distance(出口層からどれくらい手前にいるか)である。この距離に沿って読むと、待合広場は「ひとつの境界」ではなく、いくつかの区域が積み重なった小さな状態空間として見える。
具体的には、missが観察されない出口層0–2)、観察された228件のmissがすべて含まれるmiss-front3–8)、そしてk分布は変化するがmissは観察されないk-structure corridor12–30)が区別される。さらに、単独の座標だけではmissをきれいに分離できない。一方で、位置を表す座標と局所的な形を表す座標を組み合わせると、この有限サンプル内ではmiss-only cellが現れる。 本章は、以上の観察結果をまとめたものである。

主要結果

3–8に集中
観察された228件のmissはすべてexit_distance 3–8(miss-front)に入り、3〜4付近が中心。
0–2はmiss 0
exit_distance 0–2(出口層)ではmissは観察されない。
12–30 → miss 0
corridorは34,565件のイベントを持つがmissは0。kは変化する区域で、missの区域ではない。
単独は漏れる
228件のmissを含むどの単独座標も、多数のnon-miss backgroundを一緒に拾う。
2座標で出る
miss-only cellは2座標で初めて現れる。6ペア中4ペアが228 miss / 0 non-miss。
position + shape
miss-onlyになるペアは必ず、位置の座標1つと局所的な形の座標1つの組み合わせ。

座標の定義

本章で使う座標。中心はexit_distance
座標種類意味
exit_distance位置バンド下端の出口層からの距離。0が出口、大きいほど奥。remaining_K_before − band_lower_edgeとして読む。
remaining_K_before位置そのステップの前に残っている評価質量。
transition_k局所的な形そのステップの評価値k
residue_pair(例mod32局所的な形イベントのresidue-pair座標。
miss local typeラベル既存のA / B / C1 / C2 / C3 / C_unassigned(そのまま再利用)。

「near behavior」ラベル(drift, wait, miss, exit)は、位置と既存のbehavior/missの結合から導いた観察ラベルであり、新しい型ではない。新しいmiss typeは導入しない。

k-structure corridor exit_distance 12–30 ・ 34,565 events ・ miss 0 15でk3スパイク;22→23・26→27でk1/k2反転 局所レジームが交互に並ぶ miss-front exit_distance 3–8 ・ 14,743 events ・ miss 228 中心は3〜4 ・ position × shapeで位置が定まる 出口層(exit layer) exit_distance 0–2 ・ missなし、動きはほぼflat 最初の出口へ
図1 ―待合広場の状態空間。 exit_distanceで積み重なった区域が、最初の出口へ向かって下りていく。これは境界の地図ではなく概念図である。

R1広場の内部は一様ではない

最初の集計では、広場をバンド内の位置でupper_hall / mid_hall / lower_hall / exit_layer(距離0–2)の4区域に粗く分けた。これは比率ベースの初期分割である。

粗い4箱の広場。出口に近づくほどwaitが短くなり、この分割では228件のmissがすべてlower_hallに入る。
区域events平均wait中央値k up / down / flatmiss
upper_hall16,32223.46722.04,702 / 4,367 / 4,8590
mid_hall22,55522.18322.06,732 / 6,346 / 8,4500
lower_hall27,45618.87619.08,957 / 9,023 / 8,531228
exit_layer10,19717.48920.02,346 / 1,372 / 6,3630

lower_hallの粗いmiss typeの内訳:B:85, A:64, C_unassigned:50, C1:13, C2:10, C3:6

観察

4区域は同じではない。イベント数・wait・kのup/down/flatバランス・missの位置がいずれも異なる。出口層では動きの大半がflat(10,197件中6,363件)。

解釈

4箱は粗い分割である。missがすべて1つの箱に入ること自体は示唆的だが、結論ではない。R2では箱を連続座標に置き換えて、区域の形を確かめる。

R2箱から連続exit_distanceへ

箱をやめて連続座標exit_distanceで読むと、あらかじめ区分を与えなくても3区域が現れる:出口層(0–2)、miss-front(3–8)、k-structure区域(12–30)。

miss-frontとk-structure corridorを同じ形式で集計。
区域距離eventsmissmiss ratedominant k
miss_front_3_83–814,7432280.0154651
k_structure_corridor_12_3012–3034,56500.0000001
観察

両者はdominant k=1を共有し、k分布も近い(区域レベルのL1差0.16214)が、missの有無は決定的に異なる(228件対0件)。

解釈

12–30の区域はここではmissが0件なので、隣り合っていてもmissの区域ではなくk-structure区域として読む。個々の距離でkが似て見えるペアはあるが、区域レベルのmiss・behaviorプロファイルが両者を分ける。

R3内部のk構造:12–30 corridor

4つのランドマーク距離について、支持(件数)と形を確認した。

corridorのランドマーク。いずれも支持あり(各約2,000+件)だが、同じ種類のランドマークではない。
距離eventsdominant k上位2 sharek3 shareentropy読み
152,45630.83880.59081.6309k3スパイク
182,22210.91540.03511.0182k1寄りのリセット(k3点ではない)
232,22810.89990.04711.2150反転のk1寄り側
272,03510.92530.04031.0209外側の反転のk1寄り側
12–30内の支持されたzone候補(距離ごとのdominant/second)。
zone候補距離eventssignature
approach_to_k3_spike12–145,13612:1/2 → 13:1/2 → 14:2/1
k3_spike152,45615:3/1
k2_to_k1_reset16–185,95016:1/2 → 17:2/1 → 18:1/2
k1_plateau_with_k4_tail19–215,69919:1/2 → 20:1/2 → 21:1/2
k2_k1_flip22–234,45622:2/1 → 23:1/2
outer_k1_k2_flip24–277,39824:1/2 → 25:1/2 → 26:2/1 → 27:1/2
outer_mixed_tail28–303,47028:1/2 → 29:2/1 → 30:1/2
観察

corridorはなめらかな勾配ではない。距離15は最も明確な局所スパイク(k=3がdominant、share 0.5908)。22→23と26→27はどちらもk2寄りの点からk1寄りの点へ反転し、距離18は16–17の遷移後のk1寄りのリセット点で、スパイクではない。

解釈

zone分割は記述的に支持されるが、機構・しきい値モデル・境界の集合として扱うべきではない。corridorはこのサンプルでmissを持たない、局所的なkレジームの交互の連なりとして読める。

R4miss-front(3–8)

観察― missはどこにあるか
  • missはexit_distance 3–8に出る。出口層(0–2)には出ない。
  • 前方ほど強い:integer residue-pairのcellは距離3、次いで4で最大(3→15:64, 4→15:47, 3→14:38, 4→14:18,…)、5–8へ細っていく。
  • kの内訳は小さいkが支配的(k1:9,142; k2:3,358; k3:1,433; …)。
  • band-jumpはほぼ同一バンド内(32-63→32-63:9,704; 64-127→64-127:4,143; 128-255→128-255:668)。
観察―局所型の構造

miss-front内のラベルはB:85, A:64, C_unassigned:50, C1:13, C2:10, C3:6。expanded parityでは、名前付き/短い型が短い語に乗り(B系でOEEEEEO:85、A系でOEEEEO:64)、残りはより長い語へ広がる(OEEEEEEO:44, OEEEEEEEO:19, OEEEEEEEEO:8, … OEEEEEEEEEEEO:1)。

解釈

この有限サンプルでは、ABはコンパクトで短い窓の型として読め、C_unassignedは1つのcellに集まらず、より長い窓の座標へ広く散らばる残余として振る舞う。これはラベルがどこに集中するかという観察であり、いずれかが必要・十分・機構的だという主張ではない。

図2 ― position × shapeのselector。非対角のペア(位置1つ+局所形1つ)はnon-miss漏れ0のmiss-only。対角のペア(位置+位置、局所形+局所形)は漏れる。これらは有限サンプル内のselector cellであって、規則ではない。

R5位置対形(position versus shape)

全イベント表(76,530行;miss 228件;non-miss background 76,302件)に対し、4つの候補座標――位置2つと局所形2つ――でselector監査を行った。cellが「miss-only」とは、228件のmissをすべて含み、non-missを0件しか含まないことを指す。

単独座標―すべて漏れる。漏れが最も少ない単独座標はresidue_pair_mod32(non-miss 47件)だが、それでもmiss-onlyではない。
座標matchedmissnon-missmiss ratemiss-only?
exit_distance14,74322814,5150.015465no
remaining_K_before13,80222813,5740.016519no
residue_pair_mod32275228470.829091no
transition_k4,9462284,7180.046098no
2座標ペア― miss-only cellはここで初めて現れる。6ペア中4ペアが228 miss / 0 non-miss。失敗する2つはいずれも片側だけ。
ペアmatchedmissnon-missmiss-only?組み合わせ
exit_distance + residue_pair_mod322282280yesposition + shape
exit_distance + transition_k2282280yesposition + shape
remaining_K_before + residue_pair_mod322282280yesposition + shape
remaining_K_before + transition_k2282280yesposition + shape
residue_pair_mod32 + transition_k27522847noshape + shape
exit_distance + remaining_K_before13,80222813,574noposition + position
観察

miss-onlyになるペアはいずれも、位置の座標1つと局所形の座標1つの組み合わせである。失敗する2つは、ちょうど片側だけに留まる2つ――位置+位置はnon-missを13,574件、形+形は47件漏らす。3座標・4座標のselectorもmiss-onlyのままである。ただし、すでにposition–shapeのペアで分離できているため、追加的な分離能力はほとんど加わらない。4座標タプルはこの監査では冗長である。

解釈

これらは有限サンプル内のselector cellであって、規則ではない。「miss-only」とは、このデータの中でcellがmissを含みnon-missを含まない、という意味だけである。このサンプルの外で必要・十分・機構的だという意味でも、原因ではない。注目すべき構造は、因果ではなく形のほうだ:missは位置だけ・形だけで定まるのではなく、位置の座標と形の座標が一緒になって初めて分離される。

R5・有限サンプル内のselector identity

上のselector監査は、監査対象のイベント集合の上での2つのselectorに関する1つの式としてまとめて書ける。これは観察結果をコンパクトに表したものであり、有限サンプルを超える主張ではない。

定義

Ω_N を監査対象のband-internal event rows全体、M ⊆ Ω_N を観測されたmiss-event集合とする:

miss-front の位置 selectormiss-supported な局所形 selector(後者は miss event 自身が占める residue-pair 値から作る)を次のように定める:

S_shaperesidue_pair_mod32 単独で定義する。transition_k は主定義に加えない:これを足しても S_shape が拾う non-miss 行は消えず(漏れは47件のまま)、形の側は追加の分離情報を持たない ―― 分離を与えているのは位置の側だからである。

ここで S_shape は miss-supported selector であり、M で観測された residue-pair 値から定義し、それを Ω_N 全体に戻して照合したものである。したがって、この恒等式は独立な予測規則ではなく、有限サンプル内の support check である。

観察

この有限サンプルでは、どちらの selector も M をすべて含むが、単独では M を隔離しない:

一方、両者を同時に課すと余剰行はちょうど消える:

この最後の式を 有限サンプル内の selector identity と呼ぶ:Ω_N の中で成り立つ経験的な等式である。これは標本外の必要条件・十分条件の主張ではなく、miss が起きる理由についての主張でもない。監査対象の行の中で、この2つの selector の同時条件が観測された miss-event 集合をちょうど選び出す、ということだけを述べている。

観察 ― 余剰の47件

S_shape \ M の47件は散発的なノイズではない。このサンプルでは全件が miss-front の外側exit_distance 35, 36, 37 にあり、near_behavior = drift である:

つまり、miss-front に現れるのと同じ residue-pair の形が、これら上位の位置にも現れるが、そこでは miss ではなく drift として実現されている。P_pos を同時に課すと、この上位位置の drift counterpart がちょうど除かれ、P_pos ∩ S_shape = M が残る。(形 selector に transition_k を足してもこれらの行は消えない。消すのは位置である。)

解釈(観察とは分けて、控えめに)

状態空間の2つの軸に沿って読むと:

  • 形だけでは miss-compatible だが miss-isolating ではない ―― miss-supported な residue 形は miss-front の外にも現れる;
  • 位置だけでは広い ―― 3–8 の窓は non-miss 行を14,515件含む;
  • 位置 + 形は、Ω_N 内で観測された miss event を隔離する ―― 両者の同時条件はちょうど M に等しい。

これは本章の他の部分と同じ「どこ(where)×どう(how)」の読みを、この有限サンプル内でたまたま成り立つ等式として書いたものである。機構・原因・証明・反例・コラッツ全体への主張は一切含まない。

R6状態空間としての解釈

観察のまとめ
  • 内部は一様ではない(R1):wait、kバランス、missの位置が位置によって変わる。
  • 連続exit_distanceで読むと3区域が自然に現れる(R2):出口層0–2、miss-front 3–8、corridor 12–30。
  • corridorはなめらかな勾配ではなく、局所レジームの交互(R3)。
  • miss-frontがmissをすべて持ち、3〜4付近で最も集中し、出口層ではmissは観察されない。C_unassignedが最も散らばるラベル(R4)。
  • missはposition + shapeのペアで位置づけられ、どちらか片方だけでは定まらない(R5)。
  • この有限サンプル内では、位置 selector と miss-supported な形 selector の同時条件が、観測された miss-event 集合をちょうど選び出す:P_pos ∩ S_shape = M(Ω_N 内、selector identity)。
解釈

状態空間として読むと、広場には「どこ(where)」の軸(exit distance /位置)と「どう(how)」の軸(局所形:k・residue・parity)がある。
miss-frontはその両軸が一緒に何かを選び出す区域、corridorは「どう」の軸は変わるがmissとしては何も選ばれない区域、出口層は基準層にあたる。
これは境界の地図ではなく状態空間の概念図であり、有限でmiss-event-localな観察だけから組み立てたものである。

やさしい言い換え 「赤い服の人」だけ、あるいは「3番出口の近く」だけでは関係ない人がたくさん混ざる。でも「3番出口の近く」+「赤い服」のように、場所の目印と見た目の目印を合わせると、この有限データの中ではピタッとmissだけが集まった。ただしこれは「見分けられた」だけで、「原因が分かった」ではない。

本章の位置づけ

本章は、有限サンプル内で観察された待合広場の内部構造を記述する。主張するのは、exit_distanceに沿って複数の区域が区別できること、missがmiss-frontに集中すること、そしてmissが位置座標と局所形状座標の組み合わせによって特徴づけられることに限られる。

したがって、本章は次のことを主張しない。

ここでいう「miss-only selector」とは、この有限サンプル内で、該当するcellにmissが含まれ、non-missが含まれなかった、という意味である。規則、原因、十分条件を意味するものではない。新しいmiss typeは導入せず、既存のA / B / C1 / C2 / C3 / C_unassignedラベルをそのまま使う。

図・成果物一覧

元になった図と、本章での役割。リンクは仮置きで、あとから実配置に合わせて直す。
図・成果物役割
waiting_hall_interior_map.pngR1 ―粗い4箱の広場
band_position_flow_map.pngR1 ―区域間の下向きの流れと出口
k_by_hall_zone_heatmap.pngR1 / R2 ―粗い区域ごとのk分布
exit_distance_miss_rate_plot.svgR2 / R4 ―連続exit_distanceに対するmiss rate
k_change_by_exit_distance.pngR2 / R3 ―距離ごとのk-changeスコア(ランドマーク15 / 18 / 23 / 27)
k_structure_corridor_heatmap.pngR3 ― 12–30の距離ごとのkヒストグラム
selector図(上の図2)R5 ― position × shapeのmiss-only cell
state-space図(上の図1)R6 ―出口層/ miss-front / corridorの積み重ね
glossary_ of_ Terms_ja.png用語一覧 ― Collatz terminology / 日本語・英語対応表

元になったsource reports

5本の有限サンプルレポートを、レポートごとに列挙するのではなく、ひとつの流れ(R1 → R6)に再編成している。関連コードはGitHubへ。

source reportsと対応する節。リンクは仮置きで、あとから実配置に合わせて直す。
レポートpython
waiting_hall_interior_report.mdR1 ―粗い4箱の広場waiting_hall_interior_audit.py
hall_zone_comparison_report.mdR2 ― miss-frontとcorridorの比較hall_zone_comparison_audit.py
zone_coordinate_contrast_report.mdR2 / R4 ― kが似た距離ペア、residue/parityzone_coordinate_contrast_audit.py
k_structure_corridor_report.mdR3 ― 12–30 corridork_structure_corridor_audit.py
minimal_miss_selector_report.mdR5 ―最小のmiss-only selectorminimal_miss_selector_audit.py

本章は、既存のParadoxical-Sequence章(64-95 → 32-63境界でのfirst-pass faces)とは独立しており、これを書き換えるものではない。本章はその境界の手前にある空間を扱う。

注意書き。上記の結果はすべて有限サンプルの観察である。「miss-only selector」のcellは、有限サンプル内で non-missが漏れなかったcellという意味である。